オープニングからブッ飛ぶ。そして気づいたらいっきにエンディングまで駆け抜けている。
それまでこんなにも自由自在に指盤を動き回るギターフレーズを聞いたことが無かった。

ハードロック命だった20代の頃に初めて聴いたアルバム「Vandenberg」はそんな印象だった。

“好奇心集団sujaku”へお越しいただきありがとうございます。ossans倶楽部のオレンジです。

ヴァンデンバーグ

ヴァンデンバーグといえばデビッド・カバーディール率いるホワイトスネイクでのツインリードの一角として知られているが、それ以前を遡ること5年前の1982年に結成された自己のバンド「ヴァンデンバーグ」でアメリカのアトコ・レコードと契約しファースト・アルバムをセルフ・プロデュースによりリリースしている。

 

ネザーランドの神話(Vandenberg)

邦題を「ネザーランドの神話」と名付けられたヴァンデンバーグの1stアルバムを手にして、僕は初めてヴァンデンバーグという人を知るのだが、ランディ・ローズ亡き後とんでもないギタリストが出てきたものだと個人的には衝撃を覚えたのです。

おっと!ランディの後釜はジョン・サイクスじゃないのかという声も飛んできそうだけど。
うん、それにも同意してしまうんですよねこれが(どっちやねん?)

このアルバムに収められた「Burning Heart」はビルボードシングル・チャート39位を記録するヒットとなり、アルバムもBillboard 200で65位を記録し、ヴァンデンバーグは上々の滑り出しとなる。

「Burning Heart」

何はともあれ先ずはその「Burning Heart」を聴いてもらいたい。

 

誘惑の炎(Heading For A Stome)

続くセカンドアルバム「Heading For A Stome」は1stに有ったどこかぎこちなさを微塵も感じさせない洗練された完成度。

全曲シングル・フューチャーされてもおかしくないほどの出来だと個人的には思うほどの僕の中ではベスト作品だ。

しかしBillboard 200では最高169位に留まる。
オランダのバンドだからこその叙情感は逆にアメリカ受けしないものなのかもしれない。

このアルバムからは2曲

「Friday Night」

オープニングのこの曲ははエイドリアン得意のスタッカートを交えたメロディアスなソロが爽快に駆ける。

「Different Worlds」

エイドリアンの18番、アコースティックからドラマティックな泣きのソロへ移行する

 

アリバイ(Alibi)

1985年に発表されたヴァンデンバーグの3作目「Alibi」は世界的なセールスには乏しくラストアルバムとなる。

ボーカリストのバート・ヒーリンクが脱退後、新しいボーカリストを加えて活動するもレコーディングの契約を結ぶに至らず。

1987年にエイドリアン・ヴァンデンバーグはデイヴィッド・カヴァデールにホワイトスネイクへの参加を打診され、バンドを解散する。

3作中、最も完成度が高くヒット性も備えている作品だが、しかし皮肉にも最も売れなかったアルバムとなっているのは何とも不可解。

「How Long」

これぞとエイドリアン節!!が味わえる

 

2020

ホワイトスネイクが97年に発表した「RESTRESS HEART」、そして同年発表のアコースティック・ライヴ・アルバム「STARKERS IN TOKYO」を最後にエイドリアンは音楽制作活動を休止。

その後は永らく芸術家としての活動や、幼い娘の育児に専念していたようだ。

2014年にはヴァンデンバーグズ・ムーンキングスという新バンドで実に17年振りのハード・ロック界へ復活。

そして2020年、満を持して伝説のヴァンデンバーグ名義でのニュー・アルバム『2020』を発表することになった。

元レインボーのボーカリストであるロニー・ロメロのボーカル、ルディ・サーゾのベース、ブライアン・ティッシーのドラムをフィーチャー起用。
まったく新しいラインナップと新しいアルバムに、ヴァンデンバーグの名前が再び使用。
実に35年ぶりのニューアルバムとなる。

 

「Let It Rain」

AC/DCを思わせるイントロ、年月を経てソロもあの歯切れのよいフレーズからレガート気味になったよね。

「Burning Heart-2020」

そして2020年版Burning Heart、やっぱりこれを持ってこなくちゃ。

 

エイドリアン・ヴァンデンバーグ

ビッグ・バンド「ホワイト・スネイク」でのエイドリアンの活動は決して順風なものではなかった。

デイヴィッド・カヴァデールはホワイトスネイクの名を知らしめたビッグアルバム「サーペンス・アルバス」を発表直前にしてオリジナル・バンド・メンバーの大量解雇を行い、後任にエイドリアンを起用。

しかしエイドリアンは、その歴史的ヒットアルバムでは「Here I Go Again」にソロを提供するのみに留まり、他の全てのギターパートはジョン・サイクスが演奏したものとなっている。

大成功となったワールド・ツアーの後、エイドリアンはホワイトスネイクの続くアルバム「スリップ・オブ・ザ・タング」において、すべての音楽を共同で作曲を行う。
さあいよいよエイドリアンのギターが全面フューチャーというこのタイミング。

しかし不運にも怪我のためにアルバムのレコーディングに参加できなるというアクシデントがエイドリアンに降りかかる。
そのためレコーディングとツアーのメイン・ギタリストにはスティーヴ・ヴァイが起用されエイドリアンはここでもサポートメンバー的な役割を強いられる。

結局エイドリアンがギタリストとしてホワイトスネイクへの全面参加が叶ったのは1997年のアルバム「レストレス・ハート」のみであり、ヴァンデンバーグ時代のあの最も彼らしいソロは最後まで聴く事が出来なかったのは残念であり、それはロック史上大きな損失だったと僕は感じている。

そんなエイドリアンのギターが実に35年振りにバンデンバーグとして復活したことに歓喜して、タワーレコードまでバイクを飛ばしアルバムを手にしたのは言うまでもない。