渓流好きが愛してやまない「フライフィッシング」。実は他の釣り方法と比べて圧倒的に魚は釣れない。
えっ、そうなの?と思ったあなた...はいそうなんです。
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フライフィッシングの魅力
フライフィッシングはとても魚が釣れない。その証拠に僕なんぞはほとんど釣った事が無い。それはきっとお前の腕がへぼだからだろうと言われるあなた!...そうなのかもしれません、きっとそうなのでしょう。しかし僕の釣り下手はひとまず置いておいても、それでもやっぱりフライフィッシングで魚は釣れにくいのです。
そもそもが偽物のエサに騙されて簡単に引っかかるほど魚もバカじゃない。いくら精巧に作られた疑似餌とはいえそれでも本物とは違うのです。
ではそんなに釣れないフィッシングなのに何で敢えてフライフィッシングを選ぶのか?それはそこに男のロマンがあるからだ(笑)
フライフィッシングの目的
先ずは釣りの目的が違う。フライフィッシャーは大量に魚を釣ろうとは思っていないのである。何なら釣れなくてもかまわない。朝から日が暮れるまで渓流を渡り歩いてそれでも1匹も釣れない時もある。
だから僕なんぞは川に出てもほとんど釣れないし、釣れなくたってかまわない。それはお前の負けおしみだと言われるあなた!...そうなのかもしれません、きっとそうなんでしょう。
では釣ることが目的じゃないなら何が目的なのか?そんなフィッシングは何が楽しいのか?それは男のロマンだから(もうええわ)
他の一般的な釣り方と比べてみよう。多くの釣りは本物のエサを付けて竿をたらす。そして魚がエサに食らいついてくるのを静かに待つ。ここまでの一連にほとんどのアクションは見られない。一般の釣り方でアクションが出るのは魚がエサにかかった時からだ。竿を立てる、リールを巻く、また竿を立てる。このアクションを魚が釣りあがるまで続ける。
アクションこそが釣りの楽しみであるとすれば一般の釣りの場合、魚を釣り上げる時が楽しいのである。だから魚が釣れなくてはいけない。魚を釣ることが目的になる。
フライフィッシングの場合はラインと呼ばれる釣り糸を定めた場所に放り投げるところからアクションが始まっている。魚の居そうなポイント目がけて糸の先に付けたフライ(疑似餌)を上手く落としてやる行為だ。
しかもただ投げるだけではない。軽いフライ(疑似餌)を遠くに投げるにはライン(糸)を空中で前後に何度もビュンビュンしなくてはいけない。ビュンビュンてなんだ?と言われそうですが上手い表現が思いつかない。要するにビュンビュンだ(笑)、いや正確にはビューンビューンか?(どっちでもええ?)
そうやって空中で何回か調整してから狙いのポイントへフライを落とす。一度落としたらそれで終わりではなく渓流では川の流れに乗ってフライは下流へ移動するわけです。流されてる時にラインを手繰っていくアクションも加わる。そうしてフライが自分の元に戻ってきたらまたキャスティングをする。この一連の行為を繰り返すわけです。
つまり一度川に入ったらずっとアクションをしているのです。一般の釣りの様に魚がかかるのをじっと待つことが無い。1日中川に居てキャスティングを繰り返す。しばらくしたら川を移動する。そしてまたキャスティング。アクション自体が楽しいスポーツみたいなもんだから、それで満足する。だからどうしても魚が釣れなくてはという気持ちがないのかもしれないわけです。
自然と一体になる
仕事とはいえ朝から無機質なモニターを眺めて、人が勝手に定めた数字に意味を持たせマウスのクリックで売買を繰り返す。そんな事を5日間も続けると流石に疲れを覚えてくる。身体ではなく心が乾いてくるのを感じるわけです。
もうどうしようもなくトレードルームから離れたい。そことは全く異なる環境へ。そう思ったらロッドを手にして僕は外へ飛び出すのです。
そうじゃないだろ、ラフな格好に着替えて酒場に繰り出すんだろうなんて思ったあなた!それは間違いです。人生の真の喜びはそこにはない!いや少しはあるかな?(笑)
渓流の岸辺に立つとそれだけで自然のエネルギーが身体の中へ心の隅まで入って来る。カラカラに乾いた心がもうその瞬間から潤ってくる。
季節によって変化する魚の捕食虫を考え毛ばりを選ぶ。魚の棲む場所を考えキャスティングをする。ラインを手繰りまたキャスティング。繰り返すうちにいつの間にか半身は水の中に浸かっている。その場所に魚影が無ければ川を上がり移動する。そしてまたキャスティング。
たまに何かの間違いかヤマメとかイワナがヒットする事がある。その時は慌てず騒がず歓喜せずただ素早くロッドを立てラインを手繰り寄せる。なにしろ久しぶりのヒットだからそこは必死だ(笑)格闘の末なんとか手元に魚を掴んだら記念の写真を一発撮って、そして「ありがとう」の一言。後はキャッチアンドリリース。こんな時にはやはり祝杯のビールをバックパックから取り出す。
腹が減ったら岸辺にあがり湯を沸かしてインスタントラーメンをかけ込む。2杯の珈琲と1服の煙草でこの上ない贅沢なランチを済ませたら再び水へ入っていく。夕方までは魚も睡眠タイムだと嘯き長い休憩に入ってただ何もしない時間を楽しむなんてこともその日の気分次第。
そこには追いかけてくる数字も無ければ、画面を上下するチャートもない。なんなら気分を和らげる目的のJAZZすらも必要のない世界。ともかく何もない事の贅沢。
日も暮れかける頃、1日中魚を求めて移動した疲労感と冷えた身体を温める為の1杯の珈琲をたてる。見上げると夢中で川を歩き回った時には気づかなかった雪山が遠くにある。朱色に染まっていく自然と自分の境目が見分けもつかなくなるほど完全に一体化していく。
魚を釣ることが目的ではない、釣れなくてもかまわない。それが「僕のフライフィッシング」...なぜならそこに男のロマンがあるから(まだ言うか 笑)
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