前回記事 “JAZZこそオレたちおっさんが聴く音楽” の続編として、いよいよ名盤の紹介をしていこうと思います。記事2回目にして「いよいよ」と言うからには相当期待できる解説だろうと期待されては困る。例によって僕の主観極まりない内容であるのを最初にご承知願いたい。そもそもが音楽とはそういうものなのだから。
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無人島に持っていくたった1枚のアルバム
懐かしいレコード盤の帯にはこう書かれている。「無人島に持っていく一枚だけのピアノ・トリオ・アルバム。」
なんとも興味をそそるサブ・タイトルではないか。こういうのが書ける人って玄人だよねぇ。僕なんかこの言葉だけでアルバム買ってしまったもの。
早速買い帰って盤に針を落としてみる。1曲目「Sometimes I’m Happy」の出だしはG.T. HoganのドッドッというドラムからJimmy Garrisonのベースが重なって、おっ!これからどんな演奏が始まるのかと期待感一杯。凄いねこのベース。
15秒ほどからBishop Jr. の歯切れのよいはっきりとした旋律のピアノが始まる。
ジミー・ギャリソンの骨太なベースがビショップ Jrのバックを駆け回る。いやと言うよりかはこの人のベースにビショップ Jrが乗っかってる感じか?
ジミー・ギャリソン
彼は1958年にニューヨークでベーシストとして活動を始め、ビル・エヴァンス、ケニー・ドーハム、レニー・トリスターノ、オーネット・コールマンらのサイドを務める。
中でも1961年から1967年までのジョン・コルトレーン・カルテットでの活動がよく知られている。
なにしろ大きなアコースティック・ベースをクラシック・ギターのように弾くのだから、それはもう驚きだ。コルトレーン・カルテットのコンサートでのそれまで無かったような長く自由なソロ・スペースが印象的である。
ドラムのエルヴィン・ジョーンズとの最強リズム帯による「イルミネイション」は1963年ニュージャージーにて録音され、
・エルヴィン・ジョーンズ(ds)
・ ソニー・シモンズ(as, English horn)
・ プリンス・ラシャ(cl, fl)、
・チャールズ・デイヴィス(bs)
・マッコイ・タイナー(p)
・ジミー・ギャリソン(b)
というメンバーで作り上げた双頭アルバムだがここでも彼のベーシストとしての魅力を味わう事が出来ると思う。個人的には2曲目に収録された「Oriental Flower」が好きな曲だが、ここは出来れば重低音のしっかり出るスピーカーユニットで聴きたいところです。
G.T.ホーガン
実のところ彼の演奏はこの「Speak Low」以外では聴いたことが無いのであまり詳しい事は分からないのだが、このアルバムを聴く限りではG.T.ホーガンのドラムはあくまでも控えに徹し、それでも強烈なグルーヴを生み出している。
やはり彼なくしてはこのアルバム全体を通してのグルーヴ感は出せなかったのではと感じる。
ウォルター・ビショップJr
僕なんぞが偉そうにプレイヤーの評価なんてのは最初から間違ってるのだし、ビショップファンからはバッシングも覚悟のうえで書くのだけれど、決してWalter Bishop Jr.のピアノは上手いわけではないと感じる。
しかし逆にだからこそこの名盤と言われるアルバムの魅力であるビートに乗ったグルーヴが十分に発揮されてるのだとしたら、それこそ彼のピアニストとしての力量なのだろうか。
ジャマイカ出身の作曲家ウォルター・ビショップ・シニアの息子であるのも、そのリズム感に影響を受けているのかもしれない。
Speak Low
Speak Lowは二人の素晴らしいサイドに支えられウォルター・ビショップJrのピアノが跳ねる・疾走する!正にピアノトリオのJAZZ名盤と呼べる出来に仕上がっている。
同曲のSpeak Lowは様々なJAZZアーティストが演奏しているが、ビル・エバンスのピアノなどを聴き比べてみるのもまたJAZZの醍醐味かもしれない。
サブタイトルの通り看板に偽りなし。ジャズピアノトリオの傑作の一枚であることに間違いはない。
1961年の作品 Speak Low / Walter Bishop Jr.
ハード・バップはマイルスだけじゃない。
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