”好奇心集団sujaku”のリーダーの玉妃(たまき)でございます。
このブログは、かつて私が大学・大学院で実際に書いた小論文を少しブログ風に改定してご紹介しようと思います。
今になって、自分で再編集する学びなおしが・・頭の整理にものすごく役に立っていて、リアル仕事やブログ活動に良い影響を与えているからなのです。
まあ、はっきり言いまして自分が単純に楽しいだけなんです(すみません・・・・笑)
教養というほどでもないのですが、ユーザーの皆様、おもしろおかしく読んでいただけましたら幸いです・・・
今回は、江戸時代後期~明治維新期の政治思想のお話です。
目次
神はアマテラス?を支持した本居宣長
神はオオクニヌシ?を支持した平田篤胤
神は天皇?にしようとした新政府 |
江戸時代後期の政治思想
アマテラスを支持した本居宣長
江戸時代の日本では、儒学が非常に多様化していましたが、後期になると儒学を否定する国学(
儒学:すべての現象を理屈で説明できると思い込んでいる→からごごろ
国学:日本古典を研究する学問 はかない心情が偽ざる真心→やまとごころ 『万葉集』『古事記』『風土記』など
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本居宣長:国学を大成した江戸時代後期の国学者・文献学者・言語学者・医師
宣長は、中国から伝わった儒学(からごころ)によって「汚染」される前にあった日本の「古の道」明らかにするため『古事記』を研究し始めました。
『古事記』にはアマテラス(伊勢)が高天原を統治し、その孫のニニギの子孫である天皇がずっと世の中を治めている、と記されているこのストーリーをすべて事実だと信じました。なぜなら、この道が日本にのみ正しく伝わっているのはやまとごころが優れているとしたからなのです。
「物のあはれを知る」という物事に感じて動く心、つまりはかない心情こそが偽ざる真心(やまとごころ)だと重視しました。
したがって、人間は和歌を詠まなければならない、その所以たるをもって国学の研究に没頭したとも思われます。
また、それまで正史とされてきた『日本書紀』よりも『古事記』を重視したのは、日本書紀はからごころが染みついているという考えをもっていたようです。
しかし、『日本書紀』を全否定しているのではなく、その書に出てくるオオクニヌシの国譲りの場面における「顕」と「幽」
また、『玉くしげ』でもオオクニヌシのことを高く評価し関心を高めていきます。
オオクニヌシ国譲りの場面「顕」と「幽」:葦原中国(あしはらなかつくに)を支配してしたオオクニヌシは、高天原から遣わされた「二の神」が自分の国を奪いにきたと怪しみ、タカミムスビ(高天原の司令塔)に相談。その結果「顕露の事」は天皇に譲って、オオクニヌシは「幽事」を治めるという条件を快諾した場面。 |
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オオクニヌシを支持した平田篤胤
平田篤胤(あつたね):復古神道を大成した江戸時代後期の国学者・神道家・思想家・医師
篤胤は、『日本書紀』に出てくるオオクニヌシの国譲りの場面を通して、「幽事」は見えない世界を意味するだけでなく死後の世界をも意味するとしました。
そして、死後の世界はないとする宣長に対して、地上にある「幽冥界」こそが死後の世界にあたるという新たな解釈をしています。
人は死ねば霊魂が「幽冥界」は赴き、
さらに、「顕」を支配する天皇といえども、死ねば「幽」を支配するオオクニヌシによって賞罰を受けることになると説きました。
こうして、宣長が確立させたアマテラス=伊勢中心の神学から、オオクニヌシ=出雲中心の神学を新たに確立させたのであります。
その後、六人部是香(むとべよしか)が篤胤の説を発展させ、人は死ねばオオクニヌシによって生きている間のおこないや心構えが逐一調べ上げられ、良き霊魂は天国にあたる「神位界」に、悪しき霊魂は地獄にあたる「凶徒界」に赴く、当然、天皇も例外ではないと説きました。
明治維新になって
神は天皇?にしようとした新政府
大国 隆正:幕末・明治維新期の国学者・神道家
大国 隆正は、平田篤胤の門人とされながらもオオクニヌシではなくアマテラスが「幽冥界」を主宰していると解釈し、宣長の解釈に近い形で復古神道を修正していきました。
そして、新政府は隆正の思想に基づいて神道を宗教化、天皇を現人神にすることにより新たなイデオロギーを確立させようとしました。しかし、一般的にはアマテラスという神はほとんど知られておらず、アマテラスを持ち出しつつ神としての天皇を確立させようとしても限界があったようです。
ではどうしたのか?
アマテラスを祀る伊勢神宮を頂点として国の神社の社格を定め、さらに神武、天智、桓武、後醍醐、明治天皇などを祀る伊勢系の神社を増やしていきました。
そして、神道は祭祀であり(宗教ではなく)神社に参拝することは、「信教の自由」と矛盾しない「国家神道」体制が確立されていったのです。
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